ヒンメリとは「幸せを運ぶモビール」

「ヒンメリ」はフィンランドの伝統装飾品で、主にライ麦の麦わらの茎に糸を通し作られた、立体の飾りのことをいいます。

発祥は12世紀、800年以上前のヨーロッパの田園地方の人々が、翌年の豊作を祈る冬至のお祭り「ヨウル」(joulu)の装飾品として作られました。太陽の光がとても貴重である北欧では、冬至は太陽をお迎えする大事な日として、「ヒンメリ」を軒先や食卓に飾り、盛大にお祝いしました。また、寒くやせた土地でも育つライ麦は、精霊が宿ると信じられており、太陽と豊穣のシンボルとして崇められていたため、「ヒンメリ」には人々の「幸せ」への祈りが込められていたのです。日本古来の稲わら細工であるしめ縄飾りのように、「五穀豊穣」「家内安全」を祈る風習にも通づるところがあるように思います。

語源はドイツ語やスウェーデン語の【天】からと言われています。風でゆらゆらと揺れ影をおりなすことから「光のモビール」とよばれています。麦のもつやさしい風合い、幾何学模様がおりなす神秘的な美しさは、見る人の心を掴んで離しません。その後キリスト教と共にクリスマスやインテリアの装飾として拡がり、現代では世界中で親しまれています。麦わらや葦などの自然素材だけでなく、ストローや真鍮など様々な素材で作られています。

作品製作&講師:青木 アイコ

武蔵野美術大学造形学部建築学科卒業。出版社にてデザイン業務を経てフリーランスのデザイナーとして活動。その後子育てしながら自然素材をモチーフとした作品製作を始める。自宅の庭でライ麦の自家栽培を始めたのを機に2021年「AIストローワーク教室」Instagram:@ai_straw_work_room を立ち上げ、ヒンメリやストロースターなど麦わら細工の教室を始める。2022年よりイベントでのワークショップや作品販売も開始。